今回は畑を作る上で必ず必要になる土づくりの方法を解説していきたいと思います。
畑を作るための土づくりの順序と何を買うべきなのかを説明していきたいと思います。
土づくりの順序
①耕す
基本的にはスコップや鍬を使って土を耕して柔らかくするだけで十分かとは思います。
土を過剰に耕すことは土の中にいる微生物やミミズなどの益虫を殺してしまう要因になるとして、あまり推奨されないこともあります。
しかし、表層の土を耕して肥料も入れて野菜の苗を植えてみたけど何故かうまく育たない、という方は下記の方法を試してみてください。
天地返し
野菜が育たない原因として、土質が悪い可能性があります。
土質が砂質に寄りすぎていたり、粘土質だったり水はけが悪い場合は、土壌改良材を入れるか、表層土と深層土を入れ替える作業が必要になります(天地返しと言われるもの)。
天地返しをすることによって土質を変えると同時に、病原菌や害虫の卵のない土と入れ替えることができます。
菜園に時間がかけられる人は挑戦してみてもいいかもしれません。
うちの畑は表層も粘土質だけど、深層はさらに粘土っぽかったのでやったことないんですけどね…。疲れるしね…。
土壌改良材を混ぜる
うちの土は粘土質なので、私が畑を耕す時に行うことの一つとして、土壌改良材を使用することがあります。
土壌改良材とは、土の通気性や保水性をよくしたり、微生物を増やしたりするために使われるもののことを指します。
畑が泥質ということは排水性と通気性が悪いので、植物の根が呼吸できずに腐ってしまったり、病気の原因となる細菌などが繁殖しやすい環境になっている可能性がありますので、土壌改良剤などを入れて土を良くする必要があるということですね。
土壌改良材には植物性、動物性、鉱物性のものがあります。
・植物由来のもの…腐葉土、バーク堆肥、ピートモス、もみ殻くん炭
肥料分は少ないが土をふかふかにして通気性や排水性、保水性を向上させる効果がある。
・動物由来のもの…牛ふん堆肥、鶏ふん堆肥、豚ぷん堆肥
土壌改良効果もありながら植物の成長に必要な三大栄養素を多く含む。
・鉱物由来のもの…バーミキュライト、ゼオライト、パーライト
通気性、排水性、保水性を向上させる。育苗用の土に混ぜられることも多い。
この中で私がよく使用するのがもみ殻くん炭、ピートモス、バーミキュライトになります。
もみ殻くん炭とバーミキュライトはさらさらしていて粘土質を砂質に寄せるために使用していて、ピートモスはめちゃくちゃふかふかなので保水性と通気性を上げるために使用しています。
ピートモスは酸性寄りの土壌改良材なので、土が酸性になりすぎないようにもみ殻くん炭や石灰と一緒に使用しています。
↑バーミキュライトと大容量すぎて変な場所から袋を開ける羽目になったピートモス。
木酢液を使用する
野菜の生育が上手くいかない原因の一つとして、土の中に病原菌や病害虫が多く潜んでいる可能性もあります。
私の畑では今のところ深刻な生育不良が発生してことはありませんが、念のため病害虫対策として、木酢液を使用しています。
畑を耕した後に、20~30倍ほどに薄めた木酢液を撒くことで土壌の消毒ができます。
撒いた木酢液が分解されるまで7~10日かかるので、苗を植える直前にはできません。余裕をもって土を耕すことをお勧めします。
木酢液には有害物質が含まれているものがある、と言われていますので、選ぶときは『発がん性検査済み』や『長期完熟』などと書いているものを選ぶのが無難かと思います。
その他の選定基準としては
①濁っていたり沈殿物のない、茶褐色の透明な物
②原材料はクヌギ、ナラ、ブナなどの広葉樹から作ったもの
③pH2.8~3.2の間もの
④6か月以上置いて、ろ過したもの
⑤水で薄められていないもの
などですね。
木酢液の有害物質に関しては他に詳しく解説しているサイトもありますので、興味のある方は検索してみてください。
まとめとして、お金を掛けたくない人は天地返しをする。労力を掛けたくない人は木酢液を使用すると良いが商品選びには注意が必要。
②石灰を耕した土に混ぜ込む
石灰を混ぜる、とは書いたけれど一番代表的なものが石灰というだけで、土壌の酸度調整ができるものなら何でもいいです。
野菜によって適した土の酸性度は違いますが、大体の野菜は酸性を嫌いますので、石灰などで酸度調整をする必要があります。日本の土はだいたい酸性に傾きますので、この工程はほぼ必須になります。
酸度調整ができるものとして、石灰、くん炭、草木灰などがあります。
石灰は、生石灰、消石灰、苦土石灰、有機石灰があります。
生石灰
家庭菜園では絶対使わないので間違って購入しないように気を付けてください。
消石灰
消石灰は(生石灰を除いた)3種類の石灰の中で一番効果の高いものになります。
家庭菜園でも使えないことはないですが、撒く量の調節などが難しいので初心者には扱いにくいものになりますので、こちらも購入はおすすめしません。
おすすめしない、と言われているものを購入するひねくれものはいないと思いますが、消石灰を撒いた場合、2週間以上期間を置かないと苗を植えることはできない上に、目に入ると失明する恐れもありますので、子供や動物がいる家庭では特に注意してください。もう一度言うが、本当におすすめしない…。
めちゃくちゃでけえ畑持ってるよ!という方以外は購入を控えるのが無難です。
苦土石灰
苦土石灰は石灰の他に苦土(マグネシウム)が配合されており、酸性度の中和と栄養補給ができる優れものです。消石灰よりも扱いやすいので、家庭菜園でも使用しやすいものになります。
消石灰と同じく撒いた後1週間~2週間程度期間を置いたのち苗を植えることができるようになります。
有機石灰
有機石灰は卵の殻や貝殻などから作られたもので、アルカリ分は低く、緩やかに効くものになります。極端に酸性に偏っている土壌ではあまり効果が得られませんが、他の物に比べるとちょっとくらい撒きすぎても大丈夫なので初心者にも扱いやすいです。
撒いた後すぐに苗の植え付けや種まきができるという特徴もあります。
他の石灰と違い、水分と反応して熱を持ったり、肥料成分と化学反応を起こすこともないので、肥料や堆肥と同時に使用することができます。
つまり撒くタイミングや他の肥料堆肥との組み合わせを気にする必要が全くないので、ベストオブ初心者用石灰と言っても過言ではないかと思います。
もみ殻くん炭
もみ殻をいぶして炭化させたもの。アルカリ性を持っているので、石灰と同じように酸性土壌を中和することができます。
通気性や排水性の向上にも効果があるので、水はけが悪い土壌の場合は使ってみると良いでしょう。
草木灰
草木灰は乾いた木の枝や雑草などを燃やして作ったもの。購入することもできますが自分で作ることもできます。
私はやったことはないので細かいことまでは教えられませんが、やり方としては
①延焼などの危険のない場所で乾燥させた雑草や枝などに火をつける。
②完全に燃え尽きる前の炭化した状態で回収。
③熱が取れたころにふるいにかけて燃え残りを取り除けば使える模様。
(某アイドル農業番組とかだと結構雑に燃やしてるっぽいのでふるいかけなくても大丈夫かもしれない)
お金を掛けずに酸度調整をしたいなら挑戦してみてもいいかもしれないですね。
③堆肥と肥料を入れる
以前の記事で有機肥料と化成肥料についての概要は説明しましたので、ここでは堆肥、有機肥料の解説をしていきます。
まだ有機肥料と化成肥料って何?という人はこちらの記事を先に読んだ方がいいかもしれません。
まず肥料と堆肥の違いですが、肥料は植物に直接栄養を与えるもの。
堆肥は土壌改良効果があり土の中に微生物や有機物を増やし作物の育ちやすい環境を整備するもの。
家庭菜園では堆肥分の高いもの・肥料分の高いものをバランス良く使用するのが良いでしょう。
化成肥料は土壌改良効果は全くありませんが、有機肥料は肥料成分と土壌改良効果の両方があります。
肥料効果 | 土壌改良 | 価格 | |
牛ふん | 〇 | ◎ | 安い |
豚ぷん | 〇 | 〇 | 高め |
鶏ふん | ◎ | △ | 激安 |
バーク堆肥 | × | ◎ | 高い |
上記の商品は家庭菜園では割と定番の物になります。
基本的には使用してから1週間ほどおいてから苗を植えることをおすすめします。
おおよその商品は完熟していますが、時折完熟が足りていなかったりする場合に、植物の根の成長を妨げるガスなどが発生することがあるためです。
なので、念のため1週間あけることをおすすめします。
私は牛ふんと鶏ふんを使うことが多いです。
参考までにうちの畑の土づくりスケジュール
私の住んでいる場所は寒冷地になりますので、夏野菜の苗を植えるのは4月下旬~5月になります。それまでには土づくりを完全に終わらせなければなりません。
3月1週 | 土を耕して、木酢液を散布し土壌消毒(1週間ほど放置) |
3月2週 | 苦土石灰を混ぜ込む(1週間ほど放置)※有機石灰を使う時もある |
3月3週 | もみ殻くん炭、バーク堆肥などの土壌改良材を投入する。 |
3月4週 | 基肥の投入(昨年は牛ふん、鶏ふんを中心に使用したが、天候不良もありハエが大量発生したので、今年は米ぬかで作ったぼかし堆肥を使用する予定) ※ふん肥に寄って来るタイプのハエは農作物に害は及ぼさないが、何となく不快だから発生しないに越したことはないよね… |
4月1週 | 畝立てしてマルチング |
4月2週 | 苗植えてよし! |
上記は夏野菜からスタートするときのスケジュールになるので、春野菜を植えたいときはもうちょっと準備が早くなる感じです。
天候によって作業ができない日などもあるので、余裕をもって予定を組むのが良いでしょう。
この記事は書いている間ずっと隣で猫が寝ていました。カワイイネェ~
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